檜皮葺き

今日、檜皮葺きのふき替え作業を初めて見た。

 

檜皮葺きといえば、日本独自の屋根を葺く工法の一つで、多くの伝統建築に用いられている。檜の皮を一定の薄さと大きさに揃えて、重ねていく職人技。

 

これまで、本や写真でしか見たことがなく、いや、むしろその知識ばっかりだったため、なんとなくがっしりした屋根の風景を想像していた。

 

でも、実物を見たら違った。

 

檜の皮は、しっかりしているけれども柔らかみがある。職人さんが、厚みを一定に割いて、端を切りそろえる。その場面は、あたかも料理の下処理をしているかのようで、木という生モノを剥いでいるかのようだった。

 

この「皮」を水にどっぷりと濡らして、しっとりと湿らせ、12ミリずつずらしながら重ねていって、竹で作った釘で留めていく。12ミリとは職人さんの感覚。そう、人間作業のあたたかみが伝わってくる屋根なのだ。ちなみに、竹製の釘は、軽くて細い。これで厚みある皮の重なりを留められるのか驚く。

 

作業現場では、木の間からぽたぽたと水が垂れていて、天然の林にいるかのような湿気と、檜の香りに包まれている。水はそんなにすぐに乾かないらしく、屋根の段面は木が湿った茶色のままだ。

 

屋根を全体的に見ると、やわらかい空気が漂っている。近くで見ると、水分を含んだ木の厚みに生命をかんじる。自然の木と、人間のあたたかみを感じつつも、やはり職人技とあって、軒先は美しく整えられている。そこに、数十年の耐久性があって、雨風からも守ってくれる強さをかんじた。

 

「木のぬくもり」とはよく使われる表現だが、これが「ぬくもり」なのか、と初めて知った。