私は、少しだけ着物屋さんでアルバイトしていたことがある。
コーディネーターという接客の仕事。
私は、主にお茶のときに着物を着るのが用途だけど、
着物屋さんにいると、
子どもの着物、男性の着物、礼装などなど、
どんな用途もありえる。
着物屋さんは、日本人に対する”啓もう活動”だと私は思っていて、
着物に詳しくない現代の日本人に”着物とは”について教えてくれる。
自分でも着物屋さんに行くから言えるのは、
もっと気楽に着物屋さんに行くべきだということ。
お店の方は、何でも教えてくれるから、
わからないことは臆せずに聞いた方がよい。
買わなくても騙されることはない、はずだ。
着物について考えると、
日本の着物でさえ、
ちゃんとした知識を持っていないけど、
毎日着ている洋服についても、
ちゃんとした知識を持っていないな、とおもう。
歴史をさかのぼって洋服とは?について考える機会も少ない。
着物は、TPOに合わせないと変だけど、
実は洋服だって、きちんと考えないと変なんじゃないか?と
気になったことがある。
現代、私たちが着ているのは、
本当に簡略化された”ファッション”だなとおもう。
その一つ一つの、形やデザインの経緯についてまで
知っているわけではない。
だから、ファッションはファッションとしてありえるとしても、
やはり現代は”手軽”だなとおもう。
着物は完全オーダーメイド。
しかも、かつては献上品であって、
「受け継がれる」もの。
大昔は、世界のどこでも、
衣服を布地から手作りしていた。
だから、一度これを味わったら、
「着ること」についての意識が変わる。
今の時代、
自分の「着物を作る」ことは、
一生で数少ないかもしれないけど。
自分だけの一枚があったら、
一生、大切に着たいと思うとおもう。
私も、そう。
帯や小物を変えて、
もっと大人になったら、こういう着こなしが似合う女性になっていたいなとおもう。
そういうものがあるって、
ぜいたくだ、とおもう。